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海風想

つれづれなるままの問わず語り

雑記ーいじめについて思うこと

いじめについてよく、「いじめられる側にも原因がある」と言う人がいる。

私はそれは、ある意味では正しいと思う。
「原因」とは、「ある物事や状態を引き起こすきっかけになったこと、出来事」を表す。
いじめは、ほんの些細なことがきっかけになる。
ちょっとした喧嘩から始まることもあれば、単にその人の容姿が気に食わないとか、言動がむかつく、とか、そんなことでも始まることはよくある。
それは、いじめられる側の人が違う人間であれば起こらないわけであるから、確かに「原因」は、いじめられる側にもある、ということになる。
しかし、この「いじめられる側にも原因がある」という文には、重要な続きがある。
それは、

「だからといって、いじめていい正当な理由など全く無い」

である。
いじめは重大な人権侵害であり、いかなる理由があろうとそれを行う側の方に非がある。

先日、職場でこんなことがあった。
休憩室で仲良し同士の先輩が二人、最近入った新人さんの陰口を言っていた。
嫌な光景だな、と思いつつ、私はついつい彼女らの会話に耳を傾けていた。彼女らがその新人さんを嫌う原因に興味があったのだ。
以下、彼女らの会話から拾った内容。

「距離が近い」
「どんくさい」
「デカい」
「TVを見て一人でニヤニヤしてる」
「休憩室で牛乳を飲んでいた(それ以上デカくなってどうするんだと揶揄していた)」

正直、「え?それだけ?」という実にくだらないことだった。

私もその新人さんと働いたことがある。
確かにちょっと動きがトロいとか、質問を聞く態度がちょっと変とか、そういうのはある。
でも、仕事はきちんとやってるし、色んなことを一生懸命覚えようとする姿勢もある。
慣れない職場で働き始めたばかりなのだから、多少動きがぎこちないのは仕方ないことだろう。
そして何より、決してあの先輩達に、反抗的な態度をとったりしたわけではない。
そもそも、その先輩達は彼女と殆ど一緒に働いたこともないのに、なぜあそこまで悪しざまに言えるのかと、逆に不思議になった。

おそらく、彼女達は「自分が(彼女を見て)不愉快に思った」という、ただそれだけの感情を根拠に彼女を嫌い、悪口を言っているのだろうと思う。
「陰口を叩く」という行為自体が、その新人さんの尊厳を損なうことだなんて、当然考えもしないのだろう。
あまつさえそのうち一人は、「話しかけんなオーラを出しといた」と、彼女を無視していることを公言していた。
つまり彼女達にとっては、自分の心が快適であることが、最優先される正義なのだ。

確かに、「この人、何か苦手だな」ということは誰しもある。
そういう人とまで、博愛主義的に全て仲良くしろ、なんていうのは相当に難しい。
だから、傍にいて不愉快に思う人とは付き合わない、距離をとる、そうした権利は誰だってあると思う。
だけどそれ以上踏み越えること、例えば露骨に無視したり、悪口を言ったり、暴力を振るったり、それらのことをやった瞬間、それは単なるいじめになる。

こういうことをしてしまう人達に足りないのは、ちょっとした「想像力」だと思う。
相手にしたようなことを、自分がされたらどんな気持ちになるか。
ただそれだけのことを、自分の気持ちはとりあえず端に寄せて、ちょっと考えてみるだけでも、世界はずっと違って見えるはずである。

誰も嫌いにならずに生きて行くことは難しい。
でも、誰もいじめずに生きて行くことは可能である。

それが大人というものだろうと、私は思うのであるが、違うのだろうか。